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2018-08-09

サイクリスト憧れの聖地『カラコルムハイウェー』サイクリングデーター

世界を旅するサイクリストが最も憧れるルート『カラコルムハイウェー』はパキスタンにある。7,000m級の山々に囲まれた秘境の道は世界各地にあるサイクリストの聖地の中でも、特に険しくとも美しいルートと言えるだろう。

911の余波からカラコルムハイウェーを訪れる旅行者やサイクリストはあまり多くはない。そのため情報がなかなか手に入りずらいルートだが、その絶景は変わることなく訪れる者を魅了してくれる。この走行がきっかけで多くのサイクリストや旅人がカラコルムハイウェーを訪れてくれることを願っています。

 

現在、自転車による世界一周旅行中だが、ビザ取得の関係やルートが前後してしまうため、今回はカラコルムハイウェー単体の走行とした。スタート地点となるパキスタン首都イスラマバードまで飛行し自転車による走行開始。N35を北上してショートカットとなるN15へ入りバブーサパス(4,170m)を越え、ギルキット、フンザと抜け、中国国境となるフンジュラブ峠をタッチしてインドまで引き返すルートを走行した。この走行は2018年6月7日から27日間、750kmのデーターである。

 

カラコルムハイウェーとは?

カラコルムハイウェー(The Karakoram Highway:以降KKH)は中国の新疆ウイグル自治区とパキスタン北部をカラコルム山脈を横断して結ぶ全長1,300Kmの道路である(中国側は自転車での走行は不可)。この道路の最大標高は中国とパキスタン国境となるフンジュラブ峠4,700mで、舗装道路の国境としては世界で最も高い位置にある。

KKHはサイクリストやライダー憧れの道路だが、パキスタンには8,000mを越える高嶺が5つあり、登山家やトレッカー達の冒険旅行の拠点ともなっている。『最後の桃源郷』『長寿の里』として数多くの紀行文にも登場するカリマバード、フンザ地区もこの街道沿いにある。

旅の準備

ビザの取得

パキスタンに入国する際はビザの取得が必要です。
しかし、原則としてパキスタンは第三国からのビザ取得はできず、日本人は日本国内でビザを取得するしかありません。世界一周系サイクリストがKKHが憧れの地であっても訪れることができない理由がここにあります。


日本国内でのパキスタンビザの申請はとても簡単です。必要書類を事前にHPダウンロードし記入して、都民の方なら在パキスタン大使館に申請。都外の方は郵送で送ればまた郵送で送り返してもらえます。申請料は100円と激安です(送料は別途がかかります)。ビザ発行日からスタートする90日間有効(滞在は30日間)のビザとなるので、走行計画をしっかり練ってからビザを取得しましょう。

申請に必要な書類は
・パスポート本体
・申請用紙(ダウンロードし英語で記入)
・過去6ヶ月以内に撮影された証明写真(4.5×3.5)2枚
・航空券(eチケット)のコピー
・宿泊予約票
・旅行工程表(英語)
・申請料金の100円

航空券、宿泊予約票はキャンセルできる物を予約し、コピーして書類を作りました。(予約サイトのホテルは高すぎるので後ほどキャンセルしましたが…)陸路で入国する場合も入国手段を書いた紙を提出するので注意してください。ビザ取得の詳細は変更もあるかと思いますので、別ページを参照してくださいね。
※僕は特殊な方法で第三国でビザを受け取りました。詳しくは個人的にメッセージを下さい。

キャンプ用品を手に入れる。


空路で入国した場合、空送して運べないキャンプ用品は首都イスラマバードのキャンプ用品店で手に入れることができる。MSRやSOTOのガソリンバーナーはガソリンがあればどこでも使える利点があるが、近年はガソリンバーナーを預け荷物で預かってくれない航空会社も多いので注意が必要だ。また、4,000mを超える高地走行になるので、防寒装備など追加したい場合はイスラマバードで揃えておくといいだろう。

【Ascender】
住所:Suite 9, 3rd Floor, Capital Plaza, Shabbir Sharif Rd, G-11 Markaz G 11 Markaz G-11, Islamabad, Islamabad Capital Territory, パキスタン
Tel: +92 333 9980903
Web: http://www.ascender.pk/

 


このキャンプ用品店ではキャンプ用ガス缶(OD缶)が手に入る。高地用のミックスガスも手に入るので嬉しい。全て輸入品なので金額は高く、缶が変形していたり錆びている物も多いので購入の際は注意して買いたい。まだまだキャンプがメジャーレジャーでないパキスタンだが、登山やトレッキングで訪れる旅行者も多いので、アウトドア用品店は増えて行くだろう。

パスポートとビザページのコピー


パキスタンでは州により警備レベルが異なる。特にアフガニスタンとの国境を接するハイバル・パクトゥンクワ州(KP州)の警備は厳重で、バスで移動するにも、自転車で走行するにも沢山の検問を通過しなければならない。その際に検問所にパスポートとビザページのコピーが必要になるので事前に準備しておこう。片道で最低6部、往復を考えているならその倍が必要だ。また、パキスタン国内では計画的な停電が多く、コピー屋が閉まっていることも多いので事前に準備しておいた方がよい。

 

旅のシーズン


参照:西遊旅行より

KKHのシーズンは春から秋にかけて。10月末頃から5月はじめ頃までの冬季はKKH最大標高地となるフンジュラブ峠が閉鎖されてしまうので通行はできない。春先には杏やアーモンドの花が咲き、桜のようなピンクの花が谷間を埋めるのも有名だ。また厳格なイスラム教国でもあるので、ラマダン月(断食月)はレストランや商店が日中閉まってしまうので注意したい。ラマダンが終わり3日間はラマダン明けを祝うイード祭が行われ祝日となるため、KKHは国内旅行をするパキスタン人でごった返し交通量がかなり増える。7月、8月のモンスーン季には濁流が数時間道路を塞ぐこともある。

僕が走行した6月は
イスラマバードなどの低地( 500m)で最高気温43℃
フンジュラブ峠などの高地(4,500m)で最低気温 5℃

であった。低地では熱中症になり、高地では雪が舞い凍えた。このように気温幅がかなり広いので装備は十二分に選びたい。

 

治安

今なお緊張状態が続くインド・パキスタンのカシミール紛争や、911事件の首謀者ウサマ・ビンラディン氏の暗殺がKKHのスタート地点アブッダバードであったことなどイメージのあまり良くないパキスタン。だが、出会うパキスタン人はみな良心的で穏やかな方々が多かった。中規模の街であれば英語を話せる人も多く、教育レベルはかなり高いように思われた。

しかし、警備が厳重なKP州ハリプールやアブッダバードでは空室があるホテルに宿泊できなかったり、満室だと断られることがあり、外国人を警戒していることが伺える。

 

通行許可と警察機関

公務でパキスタンを訪れない限り、通常の観光ビザは【VISIT】ビザが発給される。このビザはどの州も訪れることが許可されているビザだが、KP州を自転車走行(バス移動は除く)する際に《NOC》(No Objection Certificateの略)の許可書を持っているか?と聞かれることが多々ある。

VISITビザであればNOCは原則として必要でないのだが、地方警察はNOCがないと通過させることはできないと信じ込んでいる。NOCという許可書は各州都にあるDCO事務所(District Coordination Officerの略=地区調整官)で取得できるとのことで申請に行くが、DCOの所長は『VISITビザであればNOCは必要がないから君は好きな場所を訪れることができる』と当たり前の事を言われ追い払われてしまった。

 

地方警察、州警察、州軍、DCO事務所と各方面にNOCが必要のない事を説明し、ようやく検問を通過しようと試みるが、次はASPサーブなる警察機関が登場しまたも通行が許可されなかった。KP州はいくつ許可を取ればいいのか… 結局僕はKP州の途中Balakot-Naranの80kmは走行許可が下りず、警察車両で移動することになった。悔しいが、近年では世界的に見ても最短距離の車両移動で済んだであろう。詳しくは走行記を参照下さい。

一応、在パキスタン日本大使館に電話確認をしたところ『NOCは必要ないが、まだ地方警察までその知識が浸透していない』とのことであった。NOCが必要がない事を徐々に理解してもらうしかないが、今後の対策としては警察機関も縦社会のピラミッド形式なので、州都DCO所長など権力の強い人と接見でき、許可が下りた時にその人の電話番号を聞いておくと効果的だという事だった。

 

道路状況

イスラマバードからフンジュラブ峠まではほぼ完全舗装道路だ。時より崖崩れなどで破損してしまった道路もあったが、長くとも2kmほど進めばまたアスファルトの道に戻る。夏の期間に道路工事を集中的に行うため、道路補整工事は至る所で行われている。

坂道の傾斜角度は2〜5%程度と緩やかで、押し上げなければ進めないような坂道は数カ所ある程度だった。

2010年にフンザ地区より東12km付近で大規模な地滑りがあり、フンザ川がせき止められできたダム湖(アッタバード湖)の影響でKKHは水没してしまい船による移動をしなければならなかったが、2015年に中国の支援でトンネルが開通し、現在は船移動をしなくとも道路が繋がっている。(Google mapでは地図修正が行われていない)

 

フンジュラブ国立公園

フンジュラブ峠はフンジュラブ国立公園内の北40kmにあり、公園入場料800Rsを払い入園する。公園事務所をすぎた検問所で外国人は登録をしなければならない。上りで40km、フンジュラブ峠をタッチして下りで40kmの走行では1泊どこかでキャンプをすることになる。国立公園にはいくつかのキャンプ場が、外国人は泊まることができないらしい。下った時に公園事務所を通過すると『昨晩はお前を見失って大問題になった!』と怒られてしまった。どちらにせよ1日での往復は難しいので事前に宿泊許可をもらい公園内に入る事をオススメする。

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